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06.10小倉WSレポート
 吉村順子先生の小倉ワークショップレポートできました!
 小倉06WS本番 レポート
 

遠くになり近くになり、どこかで祭り囃子の太鼓の練習が聞こえる、それがぴったり芝居にはまりました。演じ手のせりふのテンポもずっと同じ。シーンが変わっても、人が変わっても、ずっと同じ。そのことを雄三さんが指示したわけではなかったはず。でも、芝居をする人も見る人も同じ拍動を共有する、一つの生き物のようなワークショップの場になりました。新生児室に流れるお母さんの拍動の音、それに同調することで、一人一人が同じ根っこを持ちながらも、こんなにも違って見えるということ。30人の日常ではとても濃いショッパーズたち。それが、水墨画のような芝居を作りました。

今年の秋はWS巡業です。沖縄に始まり、小倉、横須賀、博多、三重。こんなにくっつくと、よく似たものができるか、というと、これがまったく異なる。そこが本当におもしろくて飽きません。沖縄ではこれでもか、というくらい扮装に凝って。でも、扮装くらいで覆えない豊かな風土があふれました。一転して小倉は、とてもあっさりしていました。ほとんど普段着。この芝居には扮装は似合わなかったでしょう。

笑い講
去年の小倉の芝居はずっと心拍数上がりっぱなしの感じ。東京からやってきた長期出張者のイッセー尾形は、小倉のあらゆる場面で突っぱねられ、排斥されようとしました。でも、今回小倉はもっと胸を開いてくれたようです。ダリの格好したいんちき笑い教ボランティアのイッセー尾形に言われるままに、大声で笑い声を上げていきます。他者性の象徴のような異風な格好の人の指示を素直に聞いているけれど、だれもそんなことにすがろうとはしていない。とても自立した人たちが舞台に並びます。
で、イッセーも観客もあっけにとられます。おとなしい顔のまま前に進み出た人物は、腰に手をあててあっはっはとやりだすと、表には普段表れない、見事な大物笑いを続出させるのです。

嫁と姑
大きなぼうやのような息子、袴をはいて堂々とした体躯が目立ちます。おふくろ、新米炊くのうまいなあ。と隣に座った和服女性に言います。嫁は歯をせせりながら、テレビの前にごろ寝。3人の間に葛藤はあるのだけれど、そんなものいまさら、なんとかしようなんてだれも思っていないのがくっきり伝わります。互いに、言いたいことを言い放つけど、3人の関係はまったく変わりません。
しかし、内側にたまってくるものはあるわけで、お母さん、いきなり、♪孤軍奮闘、囲みを破って帰るううう♪と詩吟をうなりだします。結局、うっぷんというのも、音とともに空へと拡散してくのでしょう。小倉の知恵なのです。

次長の詩集
二人で昼休み。微妙な男女の仲なのか。体を外側に傾けている女の肩に手を回します。そしていうことは、会社の同僚の悪口。二人して、微妙な関係性を保つために会社での噂話を使うことにしたみたいです。どうも、もっとも盛り上がるのは次長の話。そこに本当に間が悪く当人の次長が割り込みます。すっかり態度をかえて次長を持ち上げる男の持ち出すのは、次長のふんどしコレクションの話題。
思いよらず、女性が話しに切り込むと、ふんどしが痛くないのか、という話に急展開していきます。しかも、たるみに喝を入れるためにきつく、疲れるとゆるく、と思いもよらなかった精神論に発展。もうここまでくると、南洋の鳥がメスを前にして羽広げてプレゼンするのとどこも違いません。次長、大声で歌いだすと、思わず対抗して若手男性も歌います。さやあてで終わらず、にOLがやにわに立ち上がり、きれいな顔から想像することのできない音程のあやうさで歌いだします。これが、南洋の鳥と人間の大きな違いです。

自衛隊タクシー
泣く娘をとつとつと慰めるお父さん。得意の四文字熟語を引用するのですが、そのうち、熟語を披露することにうっかり夢中になりかけます。タクシー運転手として、もらいすぎたお金を届けに行ったエピソードを話しだすお父さん。どう関係があるのかわからないけど、娘はありがとう、ありがとうと感謝します。なおも泣き続ける娘に、お父さん「空が泣いたら雨が降る、山がなくときゃ水が出る♪」と歌いだします。
 うん、お父さんの心の中に、過去の悔しかったことが流れてることが、どうやら不器用な娘に伝わったのでしょう。慰めるということが、相手に気持ちを向けようとすることだと思われている今の風潮に対して、ただひたすら共にあることこそが人を癒すのだと気づかせてくれる芝居です。それにしても、これだけ不器用なユーモアでそんなことに気づくというのが、照れくさくてしかたありません。

おじいちゃんうるさい!!
なんとか孫の会話に割って入ろうとして、全部阻止されるじいちゃん。でもじいちゃんはめげません。じいちゃんうるさい、と言い続ける孫娘。じいちゃんいることで、このわがままそうな姉妹がとても仲良しにやってるのです。まったく会話にならないのに、じいちゃんはしきりに姉妹にはなしかけます。3人ともにうれしそうに見えてくるから不思議です。

だんなの悪口
泣く直子。慰めるピンクの服の太った女性。ここでも、慰める女性は自分の過去の話を淡々とします。確かに相当不幸かも。そこへ、ピンク女性の夫が帰ってくる。マッキュンと呼ばれる夫と、直子の間に親しげな空気が流れてきて、だるまのように前を向いたままのピンク女性のまゆがじょじょに上がってくると、その表情の豊かさに、みとれてしまいます。もしかしたら、この二人はキャサリンと呼ばれるピンク女性のこの表情を見たさに、こんなやりとりをはじめたのでしょうか。たぶんそうなんじゃないかな。3人のせりふの間のよさが場面を支えていました。
しかし、ここでもバランスをとれなくなってくると、いきなり歌いだします。夫はヨーデルを。直子は泣きながら、「お願い、お願い傷つけないで♪」と。そして、キャサリンは、
♪モスラーや、モスラー♪、はまりすぎて何もいうことがありません。

病棟のうわさ話
ここでも、白衣の男性と事務員は女医の悪口でお互いの関係を暖めています。選ばれているのは、強烈にうわさ話しても大丈夫なくらい強烈なキャラクターです。
もちろん、強烈キャラの女医さん登場です。3人になって、次の人のうわさになりますが、どうも当の女医さんよりは格が下らしく、話がはずみません。なぜか、立ち上がって歌いだす女医さん。お追従というのも、盛り上がるらしく、二人は勢いを盛り返します。

やくざ団地
着飾った女性二人。第三者の悪口でここでも盛り上がるかとおもいきや、ここでは、二人の関係は作れません。聞いているおとなしい女性は同意することができないのです。悪口に同調しない人がこのテーマでしょうか。当の女性が登場し、自分の悪口の残り香をかぎつけます。衣装がはっきりしていて、真ん中の同調できない女性をはさみ、まっ白のチャイナドレス、と真っ赤なワンピース。間の女性にお互いの悪口を吹き込みます。こんな場面はまず、世の中にないと思いますが、これほどあっけらかんと紅白に分かれて相手を悪く言えたら痛快かも。と思っていると、対立している二人はふふ、と笑みをかわして人生いろいろと歌いだします。

悪かったのはだれ?
ここでは、対立している学校の職員の間にとんちんかんなだめ先生が入ってきます。少しも仲裁しようなんて色は見せずに、♪仕事おさめだ正月ちかい、みんなで仲良くてんぷらそばたべよ♪と第九の節で歌います。家庭の愚痴は楽しげです。足がくさいといわれても、カレーが1週間続いても、校長にだめだしされても、先生は楽しそうです。真剣に対立していた二人はだんだんばかげた気分になってきて・・・。ここでも仲直りは第3者の悪口を交換することです。

舞踊教室
ダンス教室です。半パンの男性をはさんで、中年の女性二人が先生の悪口を言っています。とりを飾るにふさわしく、ダンスの先生は本当にアクの強い人物のようです。それにしても、ここでの見せ場はダンス生徒の女性が、超高速で悪口やら追従やら繰り出す様子です。先生が登場して、うっとりナルシスチックなせりふを口にするのに、がんがん合いの手入れていきます。うっとりするような掛け合いに、日本の悪口は文化だったんだってわかります。


どのシーンでも、人は他者の悪口を言います。娯楽だと割り切っているのでしょう。暗黙の了解事項があるらしく、弱い人の悪口はいいません。悪口を言われるのは、強かったりお金持ちだったり、えらかったりします。自分が悪口言われてることに気づかないほど、他人には無関心か、気づいてもやり返すほど強かったりします。だから、この芝居で悪口を言う人そのものは意地悪でもなんでもありません。公共の楽しみごとをやってるだけのようです。これは芝居の特権でしょう。悪口って、たいていこっそり話さなきゃいけないけど、飲み会なんか、でもしかしたら当人の耳に入りかねないようなところで大声で話すととても気持ちいいです。これは快楽です。共通に悪口言い合える対象のいる職場は平和です。そして、芝居っていうのは、どんなに秘密でも悪口でもいじわるでも、観客に見せるってことが、結局陰湿なものを公明正大なものへと転化してしまう力を持っています。WSで、普段やらないことを大声でやってみて、参加者がはればれするのも、芝居の力が大きいでしょう。
さて、人間はだれでもお母さんとの二者の関係性はほどよく安定してなじんでいきます。ところが、その後お父さんとういうやっかいなものが目の前にやってきます。お母さんと私、そして、もう一人、という家族の原型である三人の関係性を体験し、自分を定位していくこと、三者関係の成立が幼児期の大テーマなのです。
そして、それをうまくクリアできていない子どもたちや大人たちがいつまでも葛藤を長引かせます。
今回の小倉は三者関係を見事にとりあげたんだなと思いました。ここではおもしろいことに二者の関係はそれほど重要なものとして描かれません。そりゃそうです。二人でいるときは楽しいとか楽とか当たり前すぎます。
むしろ、三人目がいることでできあがる二者の関係を堂々と取り上げたことがおもしろい。いじめって、この3人目を弱い人にすることですよね。でも、小倉ではふてぶてしい3人目がどんどんやってきました。これは、なんというか現代のヒーローなんだと思います。

                                 吉村 順子



| workshopレポート*吉村順子先生 | 22:08 | comments(1) | trackbacks(2) |
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わたしもふてぶてしい3人目になりたい!!!
| 泉 | 2006/12/06 9:45 AM |










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イッセー 尾形
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