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東京ワークショップ 吉村先生レポート

8月原宿で行われたワークショップの吉村先生レポートアップしました。読みたい方は
東京ワークショップ公演
日常では自分が常に主人公であるように,登場人物がすべて主人公という,そういう芝居ができた。そして日常の通り,私たちは,いつも他者に敏感だ。他者を意識し,相手が強ければ,ちょこっと意地悪になり,相手が困っていれば,どうしたら助けられるかとおろおろする。相手が幸せすぎると嫉妬し,かといって自分が幸せすぎるとほかの人も同じようにそうなってほしいと願う。私たちが毎日を生きていることは本当に滑稽で一生懸命で,思いも寄らぬ美しさもあるんだと,二回の本番を見て思った。客がどの人物に肩入れして見るかは,作り手からは何の手がかりも与えない。そういう意図は稽古の段階でそぎ落とされているのだ。
舞台上での人物が,今いっしょに舞台にあがる人とのやりとりに集中しているのは,私たちの生活と同じ,でもそこに観客が存在する。他者に見せる自分たちのやりとり。客のまなざしから見直す自分の生活。それがイッセー尾形の作り方WSでの演劇。
 

8月11日 初日の本番。

1 ベルトコンベアの面接

 作業服の中年の男女。社長らしい男はベルトコンベアにのってきたものを4つに分けて袋詰めするだけだから,と身体を反らし気味にして鷹揚を装う。人情家らしい,おばさん作業員も,面接なんて形だけだから,と女に向かって諭すようにやさしく言う。いきなり,あそこの山は国に貸してあるだけだから,竹の子は採り放題なんだと,面接試験にはどうでもいい話し。採用側があれこれ気を遣っている先には,描き眉毛の美しい細身の女性。自ら採用を希望してきたのだろうが,首をねじ曲げるようにして話す内容は,肩と首のあたりに力が入っていて,その緊張ばかりが伝わり,中身はうまく伝わらない。きれぎれの内容からは,これまで芸術関係の仕事や環境問題への関心など,ベルトコンベアの仕事とは場違いな都会的な生活が匂ってくる。3人のちぐはぐさは,見ている者の心の中にある都会と自己の葛藤を掘り起こしたかも。少し不安になる幕開けであるが,今回のテーマ全開でもある。

2 信州からマンションへ

 ばあちゃんは,椅子の上に正座している。大きな声で長野の田舎の話しをする。田舎はいやだよね,とか,牛小屋がくさいやね,とか言うが,このマンションにしかいる場所がなくなってしまった今となっては,決別する言い方でしか懐かしむことはできないらしい。口もとをひきむすぶことに力が入っている家族の母は,眉も上がり気味である。都会の母親のテンションの高さと張り付いた善良さで世の中を渡っているらしい。田舎から来た夫の母に,トイレットペーパーの二重のを買っておいたと言わずにおれなかったり,ひきこもりの娘のことを近所には,短期留学だと言っておいたと言ったり。そういう気配りが役割だと認識しているのだろう。茶の間の空気に一点でも空白があってはいけないと見張っているような息苦しさ。娘は,ばあちゃんに話しかけられているのとは別の心的空間にいて,なおかつテレビとはつながっている。新聞を読む夫は,二言目には「お袋,養老院に行けよ」と言い放つが,不調和の感じが取ってつけたようかも。息子がこれほど平然と養老院に行けよと大声で言うときは,もう少し家族関係に慣れが生じているはずだが?どうだろう。

3 浮気騒動

 闊達な関西弁を話す男はそういえば,スナックではもてるタイプかも。黒い花柄ワンピースにカーデガン姿の妻は子どもがいないのだろうか,無表情にあさっての方向を向いている。話し出すとは思えないタイミングで,「男はいいわよね。甲斐性って言われて。私も男になっていろいろなお宅におじゃましたいわ」と投げ出されて,客はうっとうなる。その怒り方の深さと熱さにのけぞるような気分。夫とこの妻は生活のテンポが全く違うのだろうな。しかも男は何回も浮気を繰り返しているらしい。何で離婚しないんだ?狂言やら落語やら,泣き落としやら,芸達者に謝り続ける男に,石のように固まっている妻。くやしくても決して泣き出さないだろうと伝わってくる。
すると妻が,話し始めるタイミングと思えない瞬間に口を開く。この間のとれない感じはすごく怖い。男が恐ろしがるのが理解できるかも。妻は,私にだって夢があったわ,バイオリニストになってヨーロッパで楽団員になるのが夢だったと,いきなり仁王立ちになり,空中でバイオリンを奏で始める。このあとどうなるのだろう。と客は縮みあがって暗転。

4 若い女と男

 とさか頭の軽そうな男は,ベンチに女と並んで座っているが,前向いて明るく話す話題がすべて高校時代のコーイチのこと。よほど,現実に話題がないのか,それとも今いっしょにいる女がいやなのか,どうも関係がはかりにくい。女はもっと相手との距離がはっきりしないのか,すっと立ち上がり身体をくっつけ男の肩に手を回す。男も状況として,おなじように女の肩に手を回すが,口は相変わらずコーイチを連呼している。女は表情も変えず,ベンチの端に戻っていく。さっさとふってもいいけど,せっかくの休暇に出かけてきて,何もなくて帰るのもねえ,という空気。男はその空気が読めてるのかどうか,少なくとも何かを伝えようとするのか,やっと自分のことを語り始める。
「おれさ,小学校のときすでにモーターのしくみわかってたし」
女,も意外に身体柔らかいのよ,とデモンストレーション。女の方のピントははずれていないんだがなあ。男はさらに自慢を繰り出すが,そのどこにつっこめばいいのか,客の方も首をかしげる。仕方なく,(年上だろうね,女が)女はゆっくりと歩み寄って男の膝に座る。これは正念場。もう逃げようがない。いよいよ男も行くかというそのとき男の口から
「コーイチって自由でいいよなあ」

5 保険会社支社長と女性たち

 いかにもの表情が上司のいる管理職の男性。3人の女性を椅子に座らせてその椅子の背側から話しかける。いつでも逃げられる態勢かしら。金切り声でまくし立てる女は,不安からか支社長が口に出さない「首」という言葉を自ら言ってしまう。分け目に白髪が目立つ女性は「わたしゃ70まで働きたいんですがね」としゃーしゃーと言う。しんねりむっつりしている中央の豊満な女性は,その沈黙が怖い。アメリカアニメのアヒルのようにわめく左側女性が何度も,ねえそうでしょ,と注意を向けようとするその手を豊満女性が急にとらえ,見事に柔道でひっくり返してしまう。しかも,またがって首までしめあげるのに,支社長は何も言おうとしない,見ようともしない。自分たちの成り行きも支社長の視線の外なんだと3人が共通に認知する。
事なかれでなければ,女性たちの上司は務まらなかったのか,それでも人員整理の段階においても悪者になろうとしない男性に,3人の敵意は沸点に達する。そりゃそうだ。

6 オーディション

 いかにもの黒縁メガネ男性が腰をかけている。その後ろに立つ黒っぽいドレスの女性左と白ドレスの女性右。オーディションらしいが,中心人物たる男性は何も言わず,難しげな表情を固定させている。白ドレスの女性は指先の動きに,何かしら心得のあることが見てとれる。プロとアマの違いを説くやら,テクニックについて見識を述べるやら。もう十分に話し尽くしているのに,最後に「ねえ,フィリップ先生」と男性に同意を求める。すると間髪をおかずに,左側女性が,柔和な顔で「人生経験を語ればいいのよ」とたたみかける。情に訴えればいいと。この場はどうなるんだろうと思う間もなく,「フィリップ先生お優しいから,毎朝,私に梅昆布茶を煎れてくださるのよ」とあきらかに右女性に聞かせるせりふ。するとテクニック女性は,事務員の女性がオーディションになると服を着替えて現れると,眉も動かさずに言い返す。二人のトーンは全く変化せず,内容だけエスカレートするのは,このやりとりが今日に始まったことではないということ。一方,フィリップ先生は全く動じずにそこに在る。在り続ける。凍ることもなく。

7 お金返してよ
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 銀行の窓口制服女性が,ハンカチで膝頭を隠すようにしてベンチに掛けている。のほほんとサラリーマン風の男性は悩みのなさそうな風情。発展する男女かと思いきや,OLは期限だからお金返してよと。男性は,困ったような表情2割,8割は根拠のはっきりしない未来への期待の表情で,「田中さんが,これからは美顔器だって言うから,100台投資した」という。そのあと,タイに行って売らなきゃいけない,じゃ,タイ語勉強しなきゃ,と口から出る言葉は,未来のどこかの時点での成功のために,今はとりあえずお金がいるという話しばかり。まったく詐欺師って,自分も未来への投資話に酔ってしまえる人なんだろうな,と思わせる。ねだらないのに,男性の話は結局今はお金がいるという落ちにしかならない。すごい。無意識の詐欺師。
 でも,女性側はそんなあてどのない未来ではなく,兄弟で出し合った父の墓石代を身近の人に貸して利ざやをかせごうという堅実な(はずの)もくろみ。泣き出す女性に,男性は上回る大泣きで,「京子ちゃんわかるよ,僕は死ぬよ」と言い出す。ちょろい和解かと思いきや,
「腹くくったのね」と表情をきりっとさせて女性が立ち上がる。あ,この人少し前美人だったはず,と客は瞬間認知。現実と金の問題でないともはや表情が活き活きしないらしい。
 泣き出せばなんとかなってきたのに,女の反応にうろたえる男性。遠すぎる未来へのまなざしより,近場の明日への視線の方が,残酷にはなれるようだ。

8 孫とじいさん

 小顔で被さり髪の少年。といっても17歳くらい,青年と呼んでもいいかもしれないが。並んで座るのは,横須賀WSでならした棒読みスター山本さん。今回,この二人の組み合わせが,余計なことをしない分,本当に二人でいることのありがたさと温かさを感じさせた。
 いきなり,僕,刑務所に行くのかな。と情けなさそうな声を出す少年。おじいさんは,少年の不安を十分にくみ取って,なお,62年前の戦争当時の話しを回顧する。しかし,この話しがなんとも言えずいいのだ。
 かぼちゃやサツマイモしか食べるものがなくて,しかもつるまで食べたから便秘はなかったな,と。楽しかった思い出話の声で戦争中の苦労を語る祖父。落とし紙も新聞だった。今はウオッシュレットを高島屋さんに借りに行くと,話す。孫の不安と話しの筋はかみ合わないのに,なぜか少年は落ち着いた気分になってきているのが客席にも伝わってくる。やりとりがいつまで続くのかな,と思っていると,優しげな若い女性が少年の隣に座り,何かこんこんと話し出す。中国の言葉らしいが,いかにも抑揚が優しげで,こくりこくりと少年が頷く。そこへ,白いスーツで決めているのに,農民のバイタリティをあふれさせた母親が登場。すごいテンションで少年を怒鳴りまくる。日本語でも意味はよくわからないが,焼き肉に関係のある話らしい?何か犯罪をやらかした少年に,知り合いの刑事さんに来てもらうから,と言い置いて娘の手を引いて行ってしまう。
 また不安になった少年は,歌舞伎の子役がやるように,手を目にあてて「僕,スカートに手をいれたけど,すごく後味が悪かった」と祖父に告げる。祖父はいさめるわけでもなく,仕方なさそうに,お医者さんごっこの昔を自慢する。と,いかつい男性が現れ,原宿署の○■と名乗り,建物の基礎と柱の間にパッキングをいれないと柱は腐るんだ,わかったか坊主!と怒鳴り,祖父には「おじいさんはわかってらっしゃいますね」と丁寧だ。結局刑事は自己満足気味にたとえ話を繰り出して帰っていく。なんだか,少年が海の上の小舟に乗って流されているような,頼りなさ。みなが,なんとかしようとはしているのだけれど,何も解決を図らない祖父の昔話だけが,彼を穏やかにさせていく。


すべてのシーンのテーマが別で,そして,すべてが都会の人間を扱っている。前夜,つまり金曜日の夜に,イッセーさんが,全体の中から組み合わせと出演者を指名したのだという。日常では絶対に組むことのない人同士が一つのシーンを作っている。あの人苦手とも言えないし,このWSに参加した結果,苦手な人ともなぜか平気でつきあえるようになるらしいから,やってみるかという気分。組み合わさっただけで,何か奥のところでぎりぎりと音がするような感じがするような組み合わせの妙。
一日目の本番は,すべてがうまく行っているいうわけではなかった。4番目くらいからは,何かが流れ出し,勢いに乗っていく感じがしたが,それでもぎこちなさや,前に出ようとする気持ちと,お互いに線を引き合うような感じが残った。3人とか4人が一つのシーンを作り上げるのに,自分の決められた(と思っている)領域から出ようとせず,他者が助けようとしてもそこにうまく乗っかれず,その舞台上での空気がちぐはぐに終わるシーンがいくつか出た。
湯気の立っているような舞台でさっそくダメだしが行われた。森田雄三は常連の女性参加者二人に厳しかった。確かに,そこで空気が立ち上がっていけば,スムーズだったかもしれない。でも,「その二人が都会をテーマとする今回の芝居を象徴していた,だから,二人の有り様を支える人が出てもよかったし,相手役が一生懸命支えようとしたところに芝居のテーマが見えた」とコメントしたのは,森田清子だった。
イッセー尾形のコメントは流れるようで,そのまま文字を起こせば文学だった。「今回の芝居は,その状況から状況を引き算した,そのあとのものをやろうとしている。例えば,最初の面接では面接から面接を引いたそのあとのもの,そこをやる。そういう,とってもモダンなことをやっている。めざすのはそういうものだ。客は状況を読もうとしてはいない。だから,それを説明しようとするよりも,そのシーンの空気をまず作っていくこと」そう言われて,ショッパーズは静かに発奮した。



ダメだしのあと,出演者以外の人,つまり,芝居を見た人が,それぞれおもしろかったシーン,ダメだと思ったシーンやせりふについてコメントしていくことになった。こういう場では,人のを誉めるのが常套。でも,見ているときは,みな,あ,ここがまずい,っと思っているはず。おそるおそるうまくいかなかった,と思ったシーンを口にしてみると,誰一人として他者を傷つけるニュアンスのコメントはなかった。言われた方は,うれしいだけとはいかないだろうが,明日に向けて,ショッパーズの見た通りのコメントが一番助けになることを知っている。相互のコメントのやりとりができたことは,東京ワークショップの一つの成果だったと思う。雄三さんに怒鳴られたり,叱られたりして落ち込み,ちょっと誉められたら舞い上がって,翌日にはさりげなさのない芝居になってしまうというのは,これまでのパターン。でもショッパーズ自身の目も肥え,舌も回るようになっている。観客のまなざしをワークショップ参加者としてのコメントに変えて,仲間に伝えあえる段階になったんだと思う。

清子さんからいくつか大切な話しがあった。
一つはお客さんがロビーにいて,5時15分からショッパーズの公演が始まる。その開始のとき,つい開演を告げる大きな声が出たのだという。それを静かに,しっとりと始まる空気を作りあげていけるように,とのこと。観客に回った参加者が舞台を支えるのだ。そして,そのことをはっきりするために,今回再入場するときに徴収する1000円を,参加者で観客に回る人も二日目は払うことにしようというもの。
払うことで客としての振るまい,まなざし,覚悟を持とうということ。これはとても大切なことだと思った。もちろん,これも一つの試みであり,これからまだまだいろいろな試行錯誤があるはず。イッセー尾形の芝居を支える客もまたイッセー尾形ら,であると考える一連の演劇の活動ならば舞台に出ずに客に回る参加者を客として意識づける試みはとても真っ当な方向だ。
 
 二日目 
 朝10時からの稽古。時折大笑いも起きる。今回は本番に出る人と出ないで見る人がいる。見る人も稽古に参加して,劇場にいる。プロセスを共有した観客が見る中で稽古が行われ,支持的な笑いが起こり,二日目を支えていく。新しいシーンも一つ加わり,つくばの参加者のアキヨシくんが,シーンの順番を決めていく。今日は「お金返してよ」の二人のシーンから始まり,昨日評判がよかった「コーイチ」の二人というように,二人芝居でじょじょに空気をあげていく段取りとなった。大詰めは昨日と同じ,性犯罪の少年と祖父。そしてその前は,マンションの家族。
 昨日の今日なのに,今日はせりふが相当に変わっていた。みな,同じことをより上手にするのでなく,初日のどきどきを二日目も維持しながら,その場で相手を支え,客と空気を共有することをめざしたのだと思う。あたらしいせりふ,言おうか言うまいか,土壇場まで迷ったはず。でも,人物の多くが舞台の上で新しい自分を更新することを選んだ。
 演出も変わった。出し物が増えただけでなく,昨日一人で抱え込んだ役目をもう一人ずつ人物を足すことになった。偶然かしら二人とも母親が付け加わった。つまり,母と娘は二人で一つの心の状況を表すということ。これはなかなかよくできた配役だと思う。昨日のベルトコンベアのシーンでは,首に力の入った都会的な若い女性の後ろに,中流夫人である母親を配した。娘は人に自分を理解させようとする努力をあきらめているが,母親の方はやや鈍感に娘の生き方を言語化する。都市的生き方と180度違う仕事に就業しようとしている娘のかたくなさと,中流の生き方に充足しているから,娘の新しい仕事にも理解を見せてついてきて代弁してしまう母親。工場の社長とおばさんのユニットと釣り合いができて,おもしろいシーンになっていった。昨日よりも,作業服の二人の絆も感じられる気がした。
 それから,浮気のけんかのシーンでは,固まっている妻とその母が登場。母は必ずしも母らしくふるまわず,まるで娘の何十年後かを二重写しに見せるように,そこにいる。そして,自分の夫との葛藤や,娘の果たせなかった音楽の夢は自分の夢でもあったことなど,女の人生の繰り返しを影のように,でもあっけらかんと演じてみせた。これも成功したと思う。
 保険会社のシーンでは,支社長はなかなかせりふに凝っていた。馘ですか,と問いつめる女性に,「うーん,雇用形態の転換」「我が社にはくび,という言葉はありません」などと繰り出し,せりふで笑わせた。女性たちは配役を替え,4人に増えた。横並びに埋没しそうな状況になるとかえって元気になる女性の特質が出たと思う。人のせりふを次の人がかぶせるように自分の時間としていくように,そのせめぎ合いが,空気を作っていったと思う。
 4人家族のマンションのシーンも,祖母の愚痴ははっきりと孫娘に向けられ,孫はきっちり祖母に反発して汚い言葉も吐き返した。その勢いのよさが,祖母の愚痴を活き活きとしたものに支えた。おかげで,祖母の息子である父親は,養老院に行けというせりふを,いくらかのためらいを篭めて言うことができた。しゃーしゃーと普通の主婦の母親のもつ毒もきちんと伝わったと思う。
 最後の少年と祖父。山本さんは新しいせりふを考えてきて,私たちは新鮮に笑った。「地下鉄に乗ろうとすると,色分けされた地図を眺めているうちに,どこへ連れて行かれるのか不安になって,切符を買うまでに20分はかかる。慎太郎さんに,言いたい。せめて都営だけでも埋め戻せ。」
姉(昨日の中国娘は姉らしい)と弟,大声の母と息子,祖父と少年,刑事と少年。どれも二人の間の関係しか築けないのだけれど,そのもどかしさとでも,精一杯の温かさも伝わってくる気がした。
 私はこの芝居を見ていて,いろんなことを思った。
見慣れない芝居はおもしろくないもんだと思う。
どんな音楽が好かれるか,という調査をやったら,結局よく知っている,聞いたことのある音楽が好まれるという,とてもシンプルな結果が出たという。私たちは芝居を見るにも型を持っている。まだイッセー尾形の作り方WS公演を見るための型をもった人はとても少ない。でも,WSに参加した人たちはよい観客になっていく。その人たちがおもしろいと思うならば,この演劇は新しい芝居を見る型を少しずつ広めていく可能性があると思う。少なくとも,主役のいない芝居という意味で,新しい演劇の可能性を提供している。

| workshopレポート*吉村順子先生 | 15:00 | comments(13) | trackbacks(0) |
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読み甲斐りますね…吉村先生のレポを楽しみにしてました。
でも京都からいきなり東京まで飛んじゃいましたか。そうですか。
| おっかけ | 2007/09/07 1:20 PM |

ただいま,山口と盛岡が同時進行してます。ごめんごめん
| よしm | 2007/09/08 8:47 PM |

お忙しいであろう中、
全国あちこち飛び回り、いつも濃密なレポート。
「フットワークの軽さ」もさることながら
「逞しさ」すら感じます。
お疲れさまです&ありがとうございます。
| なさ | 2007/09/08 9:51 PM |

初日も1,000円払うように言われ払いました。
自分の顔写真も印刷されているパンフレットを見ながら、えっ!と言う気持ちでした。発表会は参加費はいらないと書いてあったんだけれ---。パンフレットのことは聞いてなかったんだど---。
| | 2007/09/09 12:46 AM |

先生が物事を自分と異なる観点で緻密に述べているのが
時にはとても歯痒く、時には感嘆してしまうのよ。
読むは、また次の楽しみ。ふふふ。
| おっかけ | 2007/09/09 12:47 AM |

パンフレットの顔写真の無断掲載には同感です! スタッフのみなさんはよそにない親切を感じますが、運営の仕方はよくもわるくもルーズですよね。客席に回った人が有料で、舞台に出演すると参加料を払わなくてもいいのか割り切れないものが……
| | 2007/09/09 4:23 PM |

WSショップに参加した人はよい観客になってゆく--どうかなあ。私は後味の悪さばかりが残りました。NPOになったのだから、マスコミの取材があるからとか、そんな言葉も何度か森田さんの口から出ましたが---過渡期におられるのでしょうが、何をあせっておいでなのだろうと。森田さんに怒鳴られたり叱られたりして落ち込みほめられて舞い上がり--変だよね。苦手だった人とも話せるようになるらしいとありますが一番の感想。新手の自己改革セミナー。日常生活に戻った時、やっていけるんだろうか。傷ついたひとのケアはできるんだろうか。開演をつげるとき、大声が、清子さんのきりきりがハタからみていても伝わって来ましたから当然なのではないでしょうか。それにしても昨日までは参加者と思っていた人から入場料をと言われたり変。NPOになったそうですから私的な空間ではなくなったのではないでしょうか。ページもまだできていないようですね。よくもわるくもルーズ。なれあい。写真と名前のチラシ。あれ
絶対におかしいと思います。WS参加者だけに配るにしても一言あるべきでしょう。奢っていると思います。
| | 2007/09/09 8:32 PM |

苦言ならまず直接オフィスに電話でもしなさいよ。
ここに書くよりスッキリするから。お互いにね。
| WS参加経験者 | 2007/09/10 1:13 AM |

追記で申し訳ありません。

自分が舞台に立っていれば払って頂いている立場。
自分が客席から見ているのなら払って楽しむ立場。
…一体、ナニがおかしいの?
| WS参加経験者 | 2007/09/10 1:21 AM |

レポートに,これだけの数コメントが書かれること自体,実は少しうれしい。
| よしm | 2007/09/10 8:25 AM |

wsレポート。博多・新潟の分も同時進行でしょうか
| | 2007/09/10 9:35 AM |

炎上が「うれしい」?
| | 2007/09/11 4:55 PM |

管理者の承認待ちコメントです。
| - | 2011/04/01 6:20 PM |










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